Pinnedバーニング書評リストと読書記録の閲覧について更新が遅れていますが、mediumにアップロードしている過去の書評や、過去にtumblrに掲載した書評もこちらのウェブページでリスト化しています。ご活用ください。Sep 14, 2022Sep 14, 2022
バーニングジミヘンのギターサウンド、2001年のアメリカ、西武線沿線――滝口悠生(2015=2018)『ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス』新潮社過去から跳ね返ってくるのは、私がつくった過去ばかりで、そこにあったはずの私の知らないものたちは、過去に埋もれたままこちらに姿を見せない。思い出されるのは知っていることばかりで、思い出せば思い出すほど、記憶は硬く小さくなっていく。(滝口2018,p.108)Nov 12Nov 12
バーニング困っているから助ける、というシンプルで素直な関係の良さ ――瀬尾まいこ(2020=2023)『夜明けのすべて』文春文庫映画が評判なのを知ったのが遅かったせいもあり、結果的に映画に間に合わなかったので原作を読んでみることにした。自分にとっては初の瀬尾まいこで、同じく映画になった『そしてバトンは渡された』の次に出した一冊らしい。文庫本でも250ページほどの小さな長編小説だが、舞台となる栗田金属も含め…May 24May 24
バーニング濱口竜介、中井久夫、柴崎友香と2018年のプロ野球 ――阿久津隆(2023)『読書の日記 ――本を出す 指を切る お葬式』NUMABOOKS2018年から刊行が続いているfuzkueの阿久津隆による『読書の日記』シリーズ3冊目。彼が岡山でcafe…Jan 15Jan 15
バーニングテクノロジーが飛躍的に発展する時代における、人間らしさの問い直し ――瀬名秀明(2020=2022)『ポロック生命体』新潮社瀬名秀明を読むのはかなり久しぶりになるが、少し遡って『新生』や『希望』連なるような短編集だと受け止めた。2000年代に長い長編をいくつか送り出しはしたものの、その後の瀬名の魅力は先程挙げた短編集や本書のような、テクノロジーの技術的発展を時代がどのように受け止めるか、そして時代を生…Sep 3, 2023Sep 3, 2023
バーニング始まる前と、終わった後の彼女たちのこと ――武田綾乃(2021=2023)『飛び立つ君の背中を見上げる』宝島社夏紀は誰かに部活に誘われたからってそう簡単に受け入れるような人間じゃない。 それでも希美だったから、その賭けに乗ることにした。相手が、希美だったから。(武田2021:90)Aug 31, 2023Aug 31, 2023
バーニング戦間期を生きた作家による生々しい創作日記として ――ヴァージニア・ウルフ(1976=2020)『ある作家の日記』(訳)神谷美恵子、みずす書房以前小澤みゆきの作った同人誌『かわいいウルフ』を読んだことを、ウルフの書いたこの長い日記を読みながら思い返していた。小澤みゆきの同書はその後話題になり、亜紀書房から商業出版されたことでさらに多くの人に届くことになった。Aug 31, 2023Aug 31, 2023
バーニング始めから破綻している男女関係と、その後の自滅 ――ミシェル・ウエルベック(2019=2022)『セロトニン』(訳)関口涼子、河出書房新社『服従』以来、久しぶりにウエルベックを読んだがあえて意識的に政治的に書いた前作と違って明確にいつものウエルベックに戻ってきたなという感想が強い。訳者の関口涼子はウエルベックの人物描写や造形について一定の評価を与えているようだが、それに同意するのもいささか難しいかなと思うところが多…Jul 17, 2023Jul 17, 2023
バーニング8年後の布石になる論理ゲーム、そして異なる他者を評価するということ ――浅倉秋成(2021=2023)『六人の嘘つきな大学生』KADOKAWA2011年の就活で起きた事件と、その8年後の謎解きを書いた浅倉秋成の小説。作家が89年生まれなのでおそらく作家がリアルタイムに経験した2011年の就職活動を舞台にしたのだろうと思われる。何を隠そうこの文章を書いている筆者も同学年だから当時のリアリティはよく分かる。Jul 9, 2023Jul 9, 2023
バーニング美しい束の間の時間を表現すること ――ヴァージニア・ウルフ(2020)『幕間』(訳)片山亜紀、平凡社ライブラリーここ数年、片山亜紀によるヴァージニア・ウルフの翻訳が平凡社ライブラリーから勢力的に刊行されている。戦後に第二波フェミニズムの文脈でも読み直されてきたウルフだが、ここ最近もまた現代のフェミニズムの文脈で言及されることが増えている印象がある。また、小澤みゆきによる文芸アンソロジー『か…Jul 7, 2023Jul 7, 2023